INTERVIEW

奇想天外奇天烈バンド、ヒステリックパニックの説明書

2014年9月10日 |


インタビュー:ヒステリックパニック
Dr. やっち / Vo. とも / Gt,Vo. Tack朗 / Gt,Chor. $EIGO

まずは自己紹介をお願いします。
Tack朗:リーダーでギターボーカルのTack朗です。数日前に飲みすぎて柵に向かって走って飛び越えられず前歯を折ってしまって、舌足らずなのですが宜しくお願いいたします。
一同爆笑。
$EIGO:上手でギターコーラスの$EIGOといいます。よろしくお願いします。
やっち:ドラムを担当させてもらっているやっちです。
とも:ヴォーカルのともと申します。

よろしくお願いします。新作『センチメンタル・サーカス』がリリースされたわけですが、聞きたいことがありすぎて(笑)。楽曲はもちろんのこと、アートワークにしてもMVにしても、とても個性的ですよね。まずはバンドのコンセプトを教えて頂けますでしょか。
Tack朗:一言で表すと「どヘヴィーでどキャッチー」ということになります。重たいサウンドとポップなサウンドって相反するところがあると思うのですが、その極端なところを限りなくごちゃ混ぜにしています。収拾がついているかどうかも自分たちでもわかってないんですけど、それがヒステリックパニックのサウンドです。

おっしゃる通り、個人的にはその整いすぎておらず、遊び心に富んだところがヒステリックパニックの特徴だと思うのですが、曲作りってどうやっているのですが?
やっち:だいたいメインはギター二人が作ってます。曲によっても違うのですが、まずは2人がデモを持ってきて、そこから細かいところはバンド全体でアレンジします。
$EIGO:一番わかりやすく言うと、Tack朗と$EIGOが曲の原案を書いていて、メロディーはTack朗が考えちゃいます。歌詞に関してはともが完全に一人で付けてます。その3人がバランスよく担当しています。
Tack朗:作曲のパートごとに役割分担をして、工場のラインじゃないんですけど、僕が曲を作りメロディーをのせて、バンドでアレンジしたものをともに渡して歌詞を付けてもらったり、$EIGOが持ってきた曲に僕がメロディーのせて、みんなの意見を聞いてある程度整ったら最後にトモが歌詞のテーマを考えて歌詞をつけます。大きく分けてこの2パターンがあります。
$EIGO:よくあるのは、一人のメンバーがほぼ完成した曲をメンバーに投げて各パートのメンバーに「アレンジしていいよ」みたいなスタイルが多いと思うのですが、僕たちはバラバラに作って持ってくるので、僕たちは曲を作るペースが遅いです。

歌詞と曲がマッチしているという部分がヒステリックパニックの魅力ですね。その辺は3人の間でイメージの擦り合せはあったりするのですか。
とも:あんまり考えてないですね。一個あるとすれば、曲がかっこよすぎると、歌詞はダサくしています。全てがかっこよすぎるとヒステリックパニックらしくないので。ちょっとダサくしたぐらいが丁度いいんです。
Tack朗:特にこのアルバムだと「ねこ地獄」という曲があって、楽曲自体は攻め攻めなキラー・チューンになってるんですが、歌詞の内容がチャーミングすぎて…。

どんだけ猫すきやねん!みたいな。
一同爆笑
$EIGO:シンガロングで「おい!ねこ!飼え!」っていうフレーズがあるんですが、みんなでレコーディングの時も全力で猫に対する愛を叫んでましたから。楽曲はストレートがかっこいいのに、猫が好きすぎるって歌詞にしちゃったみたいな。さっき言ったようにかっこいい曲に、ちょっとおおっぴらな歌詞を付けるというのは、そういう意図があるんです。まぁ、事後報告なんですけどね(笑)。
Tack朗:そうだね(笑)。レコーディング前まで歌詞は知らされてないんです。
$EIGO:二日前ぐらいに歌詞渡されて「はい、これ歌って。」って言われて、「マジで言ってるの?」みたいな。

なるほど。歌詞の話になったので歌詞について話したいのですが、韻を踏みかたや、言葉のチョイスがとてもユニークで上手ですよね。
とも:そこは一番気を遣ってます。こういうジャンルだと英詞が多いと思うんですよね。英詞はかっこはつくけど、面白みがないんです。例えば英詞の歌詞カードみながら曲を聴いてもアーティストが伝えたいことの10分の1も伝わらないと思うんです。そのぶん僕たちは歌詞が独特なので、音を聴いて楽しんで歌詞を見てまた別の路線で楽しめる。それがヒステリックパニックなんです。音と歌詞と別の楽しみかたがある。そんな歌詞も他のバンドに無いなうちらの強みだと思います。
$EIGO:よく「こんなこと言ってるんだ!」みたいなことTwitterで言われてますから。

バンド名もカタカナ表記が多いのはこだわりなのでしょうか。
とも:これもまたジャンルの話になるんですが、長いバンド名とか頭文字をとってみんなバンドを呼ぶじゃないですか。でも実はヒステリックパニックってマーチ(物販)では英語表示だったりするんです。最初に名前を付けた時、カタカナ表記でも英語表記でもいけて、なおかつ「ヒスパニ」と略しやすいのでどこにでも対応できる、直接伝わりやすいバンド名にしたかったんです。英語だとやっぱり覚え難いんですよね。アルファベット略してるバンドが多いですが、それだけだと誰か分かりにくいじゃないですか。でも略した時に「ヒスパニ」って分かりやすいし、他には絶対いないので。

なるほど。納得です。話は変わってしまうのですが、皆さんのルーツも教えていただけますでしょうか。
$EIGO:僕は10代の時からパンクが好きでモヒカンでして、有名どころだとRANCIDとかSUM41が大好きで、洋楽ミクスチャーでいうとLimp Bizkitや初期~中期のLINKIN PARKも聴き始めて、歳を重ねるにつれてClosure in Moscowとかちょっと変わったバンドを聴き始めました。

実はヒスパニ聴いた時にそれ凄く感じました!混沌とした中に綺麗なジャジーなフレーズが入ってたり、ダンスフルなフレーズがあったり。
$EIGO:それ凄く嬉しいです。ギターロックじゃないですけど、そういう奥に隠れたフレーズって、9割の人には伝わらないとしても、分かる人には分かってもらえると嬉しいなと。
Tack朗:ちゃんとヘッドフォンで聴いたりすれば、$EIGOが入れてるラウドっぽくない細かいフレーズに$EIGOのバックグラウンドを感じられるよね。
$EIGO:RISE RECORDSのバンドとかも好きで、最近だとラウドの第一線で活躍してるIssuesとかも通ってきています。
Tack朗:僕はメロディーを全部作ってるんですが、中学校の3年生の時にGOING STEADYを聴いて、バンドというものに衝撃を受けて、そこからジャパニーズ・パンクのELLEGARDEN、マキシマム ザ ホルモン、10FEETなどを通ってきたんですけど、あるときBullet For My Valentineというイギリスのメタルバンドを聴いたときに、リフはメタルで凄くかっこいいのにサビはキャッチーで「こういう音楽って成立するんだ!」と衝撃を受けて、そこからエモ/スクリーモを聴き始めました。SAOSINだったりHOPES DIE LASTだったり今のスクリーモを作ってきたバンドをリアルタイムで聴いてきました。なのでジャパニーズ・パンクで培ったメロディーセンスやフックのかけ方だったりという面と、洋楽のエモ・スクリームから影響受けたリフだったりが、僕のアーティストとしてのバックグラウンドだったりします。
やっち:今、僕たちのやってる音楽って僕たちはJポップって呼んでますが、LOUD MUSICと言われるようなジャンルにカテゴライズされることが多いと思うんです。でも僕のスタート地点は他のメンバーと結構違っていて、中学のころから吹奏楽部に入ってたんですよ。フレーズにたいして構築していくドラミングといいますか、そこで自分のドラムはなんたるかというところができました。中学を卒業する時にL’Arc~en~Cielの「自由への招待」というシングルのイントロのドラムに衝撃を受けて、そこからバンドとしてのドラムがスタートしているんですよ。だからドラムしている人にしか分からないかも知れませんが、今回のミニアルバムに関してもラウドっぽいドラムというよりは、ギターやヴォーカルにフレーズにフレーズを寄せたりしていて。ラウドって言われてるジャンルはほとんど通ってなくて、強いて言うならMETALLICA、Dream Theater, Mötley Crüeは聴いてきましたが、一番好きなのはL’Arc~en~Ciel、Mötley Crüeで、その辺が自分のルーツになっています。
とも:僕さっき言っていた韻とか言葉のチョイスのルーツが完全にHIPHOPがルーツで、元々バンドに全然興味がなかったんです。バンドを始めたのが二十歳だったのですが、それまで元々10代の時はラッパーとかDJになりたくて、その頃から韻を踏みながら歌詞を書いていくっていう自分のスタイルができました。バンドに興味を持ち始めたのは、マキシマム ザ ホルモンが『ロッキンポ殺し』、海外だとSystem Of A Down『Mezmerize』をリリースして売れた頃ですね。その2バンドがちょっとHIPHOPに少し近いような言葉遊びをしていて、System Of A Downも英語だけど耳に残るようなフレーズが多かったりして、重たい音楽と言葉遊びをしているこの2バンドに影響をうけてバンド音楽にも興味を持ち始めてたんです。ゴテゴテのメタルは全然通ってないんですが、もっと重たいブルータルデスメタルとかゴアグラインドを一時期ずっと聴いてて、自分のシャウトの根本はそこにあるんです。アルバムを通してずっとゲロゲロと言ってるような音楽とHIPHOPが今の自分に繋がっています。

そのゲロゲロ系の中で一番お薦めってありますか。
とも:ある意味衝撃を受けたのはLAST DAYS OF HUMANITYというバンドがいて、全然音楽として成立していないし、音質もくそ悪くて何をやってるか分からないんですけど、それを聴いた時に一周まわって面白くなってちゃって。そのバンドはピッチシフターとかも使ってて、ヴォーカルのスタイルも、より非人間的な声なんです。そっち先に聴いちゃったので、SLIPKNOTを聴いても「あっポップ!」思うようになったぐらい。シャウトに関しては、聴きやすいシャウトというよりは、何言ってるか分からないぐらい人間らしくない声をいかに出せるか、というところだけはこだわりが凄くあります。

ヒステリックパニックの紐解きができてきた気がします。このアートワークのコンセプトなどもあればお聞きしたいのですが。
とも:これは僕が決めました。今作はタワレコやHMVなどお店に並んだり、メディアにも取り上げて頂いたんですけど、そんな中にこのジャケ出たらおもしろいな、みたいな。バンド名にしてもそうなんですが、この界隈でいかに目立つか(浮くか)ということを考えていました。もともとグロテスクでポップなテイストはTシャツでもあったので、それをアニメチックにしたので今回の作品です。パンチのきいたものができたと思います。

ヒステリックパニックは、許容範囲というか正解の幅が広い面白いバンドですね。日本という国は、侍だった人が服をきて150年、エレキギターを持って50年。海外から入ってきたものを壊して自分たちでもう一度作り直してオリジナルなものを作るという国民性があると思うんです。ヒステリックパニックはまさにそれだと思うんです。海外から入ってきたロックを解体して日本独自のものに再構築して進化させていると思います。だからこそ海外進出もして欲しいと思うのですが、今後海外に出る予定はあるのですか。
$EIGO:海外ですか。来年行くって話にはなってます。
全員:えー!なってるの!(爆笑)
$EIGO:僕らの強みは歌詞が日本語で勝負できるところなんです。日本語だけど日本語に聴こえないって言われるんですが、逆に言えば英語じゃなくてもいいってことで。中途半端な英語で歌うより、思い切って日本語で歌ったほうがメロディーがちゃんと届くんじゃないかと思っているんです。海外でどんな反応があるんだろうってのは凄く感じてみたいので、善し悪し関係なく海外進出は視野に入れています。お金はないですけど(笑)。

海外って音楽に対してとても柔軟なところがあって、初めてみるバンドでも良いライブをしていれば凄い盛り上がるし、逆にしょっぱいライブをしていると全く反応が無かったりするので、海外ツアーは良い武者修行になると思いますよ。話は日本での話に戻るんですが、これからツアーが始まると思うんですけど、新作『センチメンタルサーカス』を買ってライブを観にくる人たちにライブの楽しみ方を教えて下さい。
$EIGO:モッシュ、ダイブ、ツーステップ、サークル、ライブの楽しみかたは色々あると思うんですが、僕たちの曲はなんでもできると思います。初めての人も来て観てもらえば遊び方は分かってもらえると思います。恥ずかしがらずに楽しんで欲しいですね。俺たちも恥ずかしげなく全力でバカになって楽しんでいるので。どっちが楽しめるか勝負して欲しいです。演奏も上手いにこしたことは無いのですが、演奏云々じゃないので。
とも:ジャンルで言うと俺たちもウォール・オブ・デスとかピットができたり、ヒスパニから入って初めてこういうジャンルを知らない人からしたら、最初はちょっと怖いと思うんです。でもモッシュステダイもあると同時にメロコアであるようなハイタッチしながらの左回りがあったり、みんなでわちゃわちゃできる要素があるっていうのが、その分他のバンドさんより楽しみかたがたくさんあると思うんです。さっき言ってた「おい!ねこ!飼え!」みたいなシンガロングのフレーズがあったりバカな部分があるので、かっこいいものが好きっていう人からすれば、なにをチャラけてるだろうってみえるかも知れませんが、ライブはバカになったもん勝ちなので、バカになれるライブなら他のどこよりもうちが楽しめると思います。

凄くライブがみたくなりました。
Tack朗:僕らより演奏が上手いバンドなんて5万といると思うんですよ。
$EIGO:10万じゃないかな。
Tack朗:30万じゃないかな。それぐらいいたとしても、僕らより楽しいライブをするバンドは他にあんまりいないんじゃないかなと自負しています。だから初めて音源を聴いて気になっている人たちは、是非怖がらず、絶対楽しいから遊びに来てほしいです。
とも:俺らが入り口になって、他のバンドも知ってもらえたら嬉しいよね。入門編として是非。
$EIGO: Jポップしか知らない男女を問わずキッズがお客さんにも多かったりするので、そういう子たちに対バンのガチガチのハードコアやメタルコアのバンドさんたちを観てもらって、そっちにはまっちゃうってこともあれば良いなぁと思いますし。

ただの良い人たちですね。
一同爆笑。
$EIGO:そうなんです(笑)。みんなが楽しめたらそれが理想ですね。音楽だからね「楽」したもの勝ちですよ。
まだ『センチメンタルサーカス』を聴いてない人は、まず是非MVを観て頂ければ、このインタビューの内容がまたしっかり入って来ると思うのですが、このMVも自由な内容ですね。
$EIGO:うさぎとピエロが#$%=してますからね(笑)。
とも:ディレクターのかたには多大なご迷惑をおかけしました。

そういう部分もいいですよね。次は何をしてくれるだろうかとみんなワクワクしていると思うので、これかも自由に突っ走って下さい。みんな肩の力を抜いて自由に音楽を楽しめるシーンを作ってくれるのがヒステリックパニックだと思いますので、今後とも頑張って下さい。
全員:ありがとうございます!